☆なぞの遺言書「The
Case of the Missing Will」
(1993年制作、ジョン・ブルース監督、脚本:ダグラス・ワトキンソン、撮影:クリス・オドネル、音楽:クリストファー・ガニング、
原作:アガサ・クリスティー
デビット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、
ポーリン・モラン、ベス・ゴッダード、ロべナ・クーパー、
リチャード・ダーデン、マーク・キングストン)
男女同権等夢の時代、女性の地位向上には否定的なクラブ・ツリーの
主アンドルーは、美しく聡明に育ったヴァイオレットの後見人。
彼の資産を友人(シダウェイ、ベーカー)の子供(ロバート、ピーター)
達や、医療系の財団へ寄付する遺言を残していたが、
10年後、美しく・聡明に成長したヴァイオレットへ遺産を
全て与えると変更することを旧知の間柄のポワロに伝えた翌朝、
死体となって発見される。
イギリスを代表する大学都市ケンブリッジを舞台とする作品で、
原作とは全く異なった作品となっているようである。
医師で医療財団会長のアーサー・プリチャードは遺書では
財産の75%を相続する予定だったり、アンドルーの死因を
良く確認しなかったりとポワロには疑問だらけで、
そんな混乱状態の中で、アンドルーには知られていない遺児が
いるのではないかという新たな証言が出てくる。
ジャップ警部も駆け付け、捜査にあたるポワロだが、
事件の背景にアンドルーの子供が動機となっていることを暴いてゆく。
実はヴァイオレットは、アンドルーとフィリダ(カレッジの学長)の間に
生まれた子供でアンドルーの実の子供という設定、
その事実に気付いた元看護士のシダウェイがアンドルーに
薬を投与し殺害したことが暴かれる。
シダウェイは子供のロバートに遺産が与えられないことを
恐れたということ。
ヴァイオレットはアンドルーの資産を出版会社の設立に運用、
社長にはフィリダに就いてもらうという、女性の権利を主張する
作品となっている。
女性に優しいポワロのフェミニストぶりが、あらためて描かれている
作品である。
“ポワロは面白い”☆☆☆