2020年11月21日土曜日

ポワロは面白い37なぞの遺言書「The Case of the Missing Will」

☆なぞの遺言書「The Case of the Missing Will

(1993年制作、ジョン・ブルース監督、脚本:ダグラス・ワトキンソン、撮影:クリス・オドネル、音楽:クリストファー・ガニング、

原作:アガサ・クリスティー

デビット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、

ポーリン・モラン、ベス・ゴッダード、ロべナ・クーパー、

リチャード・ダーデン、マーク・キングストン)


 

男女同権等夢の時代、女性の地位向上には否定的なクラブ・ツリーの

主アンドルーは、美しく聡明に育ったヴァイオレットの後見人。

 

彼の資産を友人(シダウェイ、ベーカー)の子供(ロバート、ピーター)

達や、医療系の財団へ寄付する遺言を残していたが、

10年後、美しく・聡明に成長したヴァイオレットへ遺産を

全て与えると変更することを旧知の間柄のポワロに伝えた翌朝、

死体となって発見される。

 

イギリスを代表する大学都市ケンブリッジを舞台とする作品で、

原作とは全く異なった作品となっているようである。

 

医師で医療財団会長のアーサー・プリチャードは遺書では

財産の75%を相続する予定だったり、アンドルーの死因を

良く確認しなかったりとポワロには疑問だらけで、

そんな混乱状態の中で、アンドルーには知られていない遺児が

いるのではないかという新たな証言が出てくる。

 

ジャップ警部も駆け付け、捜査にあたるポワロだが、

事件の背景にアンドルーの子供が動機となっていることを暴いてゆく。

 

実はヴァイオレットは、アンドルーとフィリダ(カレッジの学長)の間に

生まれた子供でアンドルーの実の子供という設定、

その事実に気付いた元看護士のシダウェイがアンドルーに

薬を投与し殺害したことが暴かれる。

シダウェイは子供のロバートに遺産が与えられないことを

恐れたということ。

 

ヴァイオレットはアンドルーの資産を出版会社の設立に運用、

社長にはフィリダに就いてもらうという、女性の権利を主張する

作品となっている。

女性に優しいポワロのフェミニストぶりが、あらためて描かれている

作品である。

 

“ポワロは面白い”☆☆☆

  

ポワロは面白い36 黄色いアイリス「The Yellow Iris」

 

☆黄色いアイリス「The Yellow Iris

(1993年制作、ピーター・パーパー・フレミング監督、

脚本:アンソニー・ホロヴィッツ、撮影:ノーマン・ラングレー、

音楽:クリストファー・ガニング、原作:アガサ・クリスティー

デビット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、ポーリン・モラン、

デヴィット・スロ―トン、ドリアン・ヒーリー、

ジェラルデン・ソメルビル)


 アルゼンチンパンパにいるヘイスティングスに逢うために、

ブエノスアイレスに滞在するポワロは、レストラン白鳥の園で

毒殺事件に遭遇する。

 

政変のクーデターがおこり、ポワロは強制送還という理不尽な

扱いを受け、屈辱の帰国を遂げるという、苦い思い出の

エピソードからスタートする。

 

2年後のロンドンにレストラン「白鳥の園」がオープン、ポワロの

マンションの郵便受けには、黄色いアイリスの花が一輪、

当然事件の臭いを感じたポワロは、レストランの

オープンへ駆けつける。

ポワロの未解決事件が再現されることになるのだが、、、、、、。

 

新たに起こった毒殺殺人、ところがこの殺人はブエノスアイレスで

殺されたアイリスの妹ポーリンが、ポワロにアイリスの花を送り、

協力を依頼したものだった。


亡くなったアイリスは、ソブリン石油の経営者バートンの妻、

バートンは事件の解決をしたいと再現をしようとするのだが、、、、、、。

 

ポワロが、ブエノスアイレスのヘイスティングスを訪ねた際に遭遇した

事件だったのだが、2年後のロンドンで雪辱を果たすという作品で、

事件の解決方法もいかにもポワロらしいトリックとなっている。

 

アイリスの妹ポーリンの相続する遺産を、採掘権でほとんど

使い果していたバートンが、金に困り妻のアイリスを青酸カリで殺し、

妹ポーリンも殺害しようとしていたことを見破られる。

 

ポーリンの遺産は21歳になるまではバートンが管理しており、

その管理していた遺産も使い果たしていたということをポワロは

突き止める。

 

イギリスには料理が無いというのが持論のポワロだが、エンディングでは

イギリス名物フィッシュ&チップスを美味しそうに頬張るシーンで

エンディングとなっている。

 

確かに揚げたてのフィッシュ&チップスは美味しい。

日本にもフィッシュ&チップスの美味しい店があればよいのだが、、、、。

 

“ポワロは面白い”☆☆☆

 

2020年11月7日土曜日

ポワロは面白い35 負け犬「The Under Dog」

 ☆負け犬「The Under Dog

(1993年制作。ジョン・ブルース監督、脚本:ビル・クレイブ、撮影:クリス・オドネル、音楽:クリストファー・ガニング

デビット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、ポーリン・モラン、アン・ベル、アディエ・アレン、デニス・リル、ジョナサン・フィリップス、ビル・ウォリス、イアン・ゲルダ)



ミス・レモンの催眠術に付き合うポワロが面白い。

今作では、ジャップ警部は出演場面が無く、ちょっと寂しい。

 

アストウェル科学のワンマン社長サー・ルーベンの息子チャールズに

ゴルフに招待されたヘイスティングス、ポワロもベルギー産の

ブロンズ像等の芸術品を鑑賞できるとあって一緒に行くことにするのだが、

サー・ルーベンの強欲な考え方、一方的なものの味方に閉口する。

 

翌日、サー・ルーベンは死体となって発見される。

前提として、新たに発明した化合物の書類を巡って、

開発したハンフリーの約束とは異なり、発明が勝手に流用され、

取引に使われる寸前、ハンフリーは設計図を取り返そうと研究室に

侵入するが未遂に終わる。

 

ハンフリーとルーベンの妻ナンシーの世話係リリーも書類を見つけようと

社長室に忍び込むが失敗というエピソードが描かれる。

 

犯人の狙いは何か、ヘイスティングスの友人で、金銭的な支援を断られる

息子のチャールズが疑われ、ピンチに陥るのだが、、、、。

 

正直いってそれほど面白いというほどの作品ではないが、ポワロは

自分には全く効果のないミス・レモンの催眠術をチャールズの

母ナンシーに掛けるシーンが笑える。

犯人は身内の弟であることが判明、めでたし、めでたし。

 

“ポワロは面白い”☆☆☆