☆ヒッコリー・ロードの殺人事件「High
Dicory Dock」
(1995年制作、アンドリュー・グリープ監督、
脚本:アンソニー・ホロヴィッツ、音楽:クリストファー・ガニング、
撮影:クリス・オドネル、原作:アガサ・クリスティー
デビット・スーシェ、フィリップ・ジャクソン、ポーリン・モラン、
パリス・ジェファーソン、ジョナサン・ファース、ダミアン・ルイス、
ギルバート・マーティン、ポリー・ケンプ)
ヒッコリー・ロード沿いにある学生向けの寄宿舎で、不思議な盗難事件、
ミス・レモンのお姉さんが寮の管理者だったことから、下宿中の学生を
前に講演と言う名目で、学生たちと面会する。
ジャップ警部の奥さんが、1週間不在とのことでポワロは、不自由だろうと思い、
ジャップ警部をマンションへ誘い、食事を振る舞い、マンションに
泊まることになるエピソードと並行しながら、盗難事件が殺人事件へと
発展してゆくというシナリオ。
女学生シーリアがモルヒネで毒殺される、彼女は盗難事件の犯人として
ポワロに告白した女性。しかし、聴診器や電球、ホウ酸等は彼女が
盗んだものではないと告白している。事件解決の重要な伏線となっている。
ダイヤモンドの密輸事件が背景にあり、学生として寮に潜入し、
密輸犯を探る女性捜査官サリー、簡易バッグで密輸されることから、
バッグ販売店に勤務している捜査員等も登場、寮のオーナー/ニコレティスが
ナイフで刺され死亡する。彼女は、シーリア殺害の犯人を知っていたと
ポワロは推理する。
単なる盗難事件が、殺人事件へと展開するプロットの面白さが、
アガサ・クリスティーの真骨頂で、この作品も面白い展開となるのだが、
後半、第3の殺人が起き、事件を解説するポワロのシーンが、ちょっと長すぎる。
ポワロのマンションでの夕食、ポワロは豚足料理をジャップへ、
ミス・レモンは舌平目のクリーム煮をジャップへふるまうが、
マンションの暑さと食事のまずさに閉口するジャップ警部の表情が面白い。
ジャップ警部は、ベーコン・エッグやボリュームのある肉料理が
大好きなのだが、ポワロが自炊するジャップ警部に高額な
ィレ・ミニヨンを交わせるシーンも見どころの一つ。
頻繁にネズミが登場、これはマザーグースの歌の一説がヒントに
なっているそうで、ネズミが事件を見守るという設定に
なっているのだが、ネズミは好みではなく、ちょっと映りすぎ。
著名な政治家スタンリー卿、その弁護士エンディコットと過去の事件で
因縁の有るジャップ警部の、犯人を検挙できなかった苦い思い出の
エピソードも語られる。
結局、ジャップ警部が検挙できなかった犯人は、当時まだ子供だった
ナイジェルが犯人だったという落ちで、スタンリー卿ではなかったこと、
結局そのナイジェルが、数々の殺人事件の犯人だったという結末。
登場人物がみんな犯人らしい描き方は、ポワロらしいのだが、
90分版になって起承転結がはっきりしないし、展開がちょっと
回りくどくなった気がする。
ジャップ警部のむさくるしい雰囲気、結局、奥様の内助の功が
ジャップ警部を支えているという作品でもある。
“ポワロは面白い”☆☆☆☆
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