2021年2月18日木曜日

ポワロは面白い44ゴルフ場殺人事件「Murder on the Links」

 

☆ゴルフ場殺人事件「Murder on the Links

(1996年製作、アンドリュー・グリーブ監督、

脚本:アンソニー・ホロヴィッツ、

音楽:クリストファー・ホロヴィッツ、撮影:クリス・オドネル、

原作:アガサ・クリスティー

デビット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、ダイアナ・フレッチャー、

ダミアン・トーマス、ベンジャミン・プレン、ソフィ―・リンフィールド)

ドラマ冒頭では、富豪が殺され、妻が逮捕される10年前の事件が描かれる。

妻は、2人組の男が犯人と主張するが、偽装工作だったことが明るみになり

愛人だった男との財産を狙った事件だったことが明るみにされるが

幼い女の子連れの妻は無罪となり釈放され、犯人と目された男性は

南米に逃走するという事件が、ニュース映像として流れる。

 

 10年後、フランスのドーヴィルへ、休暇でヘイスティングと

出かけるうきうき顔のポワロ。

ヘイスティングスの切ない恋も描かれる作品となっている。

 

滞在するホテル(ゴルフ・ホテル)で、富豪のポール・ルノーから

詐欺事件の捜査を相談される。

夕食のレストラン、ピアノに合わせて歌うイザベル・ベュピーヌに、

ヘイスティングスが一目惚れする。

 

滞在するホテルは、ゴルフ大好きのヘイスティングスが選択したもので、

美味しい食事が目的のポワロは、レストランの食事やサービスに

うるさい様子が描かれている。

 

ゴルフ中のヘイスティングスが、バンカーへ打ち込んだとき、ボールを

探していると整地中のバンカーに、息子ジャックのコートを着た

ポール・ルノーの死体が転がっていた。

 

ポール・ルノーの別荘を訪れ、ルノーの妻から事件のあらましを聞くポワロ、

手足を縛られていたルノーの妻は、南米風の男性2人組が犯人だったと

告げるが、ポワロは不審な臭いを感じ取る。

 

今作では、ドラマオリジナルの味付けとして、フランス警視庁の

ジロー刑事が、ポワロのライバルとして登場、トレードマークの

パイプとポワロの代名詞/髭を賭けて、事件の解決を競うという展開。

不審な行動をとっていたポールの息子、ジャックが強引な捜査を

得意とするジロー刑事によって逮捕される。

 

第2の殺人事件が発生する、検視の結果、ホームレスであることが

判明するが、何故か立派なスーツを着込み、胸にはナイフ、

しかしナイフで刺されたのは死後だったことが明かされる。

 

ポール・ルノーの息子ジャックは、隣に住むマルトと恋仲で結婚する

予定だったが、両親は反対、父親から南米への出張を命じられ、

事件の夜、ドーヴィルに帰ってくるという構成。

 

ドラマは人間関係が複雑で整理しないと、ストーリーが分かりづらい。

・ポール・ルノーは、妻と南米で出会い、財産を築いた男

 しかし、10年前の富豪殺人事件の犯人だったという過去がある。

・ポール・ルノーの妻は、夫に言われ偽装工作をする

・息子のジャックは、隣家に住むマルトと恋仲で、結婚する予定

 ホテルで歌うイザベルとは昔、恋仲だった

・隣家に住むベルナデット・ドブレー夫人は、10年前の被害者の妻で

 名前を変え、娘マルトと移り住んでいた。

 

以上の背景が解らないと、途中で混乱してしまう作品である。

よく練られた脚本、ドーヴィルというリゾートの雰囲気が良い、

海岸で佇むヘイスティングスが、いい男に見えるから不思議である。

 

ポール・ルノーは、10年前の誘拐殺人事件の犯人だったが、

実は共犯だったベルデナット・ドブレ―夫人が隣家に引っ越してきた

ことで、ゆすられ、息子のジャックが、ドブレーの娘マルトと

結婚を約束する事態になったことで、偽装殺人事件を結計画、

ホームレスを殺害し本人と思わせようということだったが、

その会話をマルトに聞かれ、ポール本人がマルトに殺害されるという展開。

 

マルトとドブレー夫人は、ポールの遺産が目当てで、ポールを殺害し、

ジャックと結婚、ポール夫人を殺害しようとするが、ポワロの罠に

はまり捕まるという結末。

 

犯人探しは、ポワロの勝利となるのだが、そこはポワロ、ジロー刑事の

健闘をたたえパイプを返却し、握手をして別れるという度量の広さを見せる。

ドーヴィルを去る日、ポワロは、ドーヴィルを去りがたい

ヘイスティングスの元へイザベルを送り、2人がキスをして抱き合うのを

確認し、去ってゆくというエンディング。

 

とても面白い作品で、一流にこだわり、徹底した捜査を信条とする

ポワロの面目躍如の作品となっている。

 

“ポワロは面白い”☆☆☆☆

 

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