2020年8月25日火曜日

ポワロは面白い30/猟人荘の怪事件「The Mystery of Hunter’s Lodge」


☆猟人荘の怪事件「The Mystery of Hunter’s Lodge
(1992年制作、レニ―・ライ監督、脚本:TR・ボウエン、原作:アガサ・クリスティー、
デヴィット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、ポーリン・モラン、ダイアナ・ケント)

名探偵ポワロ「猟人荘の怪事件」』 1991年イギリス | じゅうのblog ... 2412】 <strong>○ レニー・ライ 「<font color=peru>名探偵ポワロ(第 ... 2412】 <strong>○ レニー・ライ 「<font color=peru>名探偵ポワロ(第 ... 
  
へイスティングスの友人ロジャー・ヘイヴァリングの招きでポワロと共に、
ヨークシァーでの雷鳥撃ちに同行する。

極寒の地で2時間も待ったポワロは、猟人荘の暖炉の前にへばりつくが
ホテルでベッドにもぐりこむことになる。
ベッドで暖を取っているポワロの元をヘイスティングスが訪れ、富豪で
猟人荘の持ち主バリントン・ベースが、訪れた男に殺されたと伝える。

立がることも出来ず、ベッドで情報を収集をするポワロ。
地元警察は2人、スコットランドヤードのジャップ警部も駆け付ける。

・駅で盗まれた自転車
・猟人荘を訪れた男を見た人間は、ロジャーの妻ゾーイとミドルトン夫人だけ
・行方不明になる契約家政婦のミドルトン夫人の所在
・ミドルトン夫人とゾーイが一緒になるのを見た人はいない
・バリントンの死で得をする3名の人物
(腹違いの弟で猟場の番人スタッダード、従兄弟のロジャー、
ロジャーの弟アーチ―が遺産創造の権利を持つ)
以上の謎をポワロが解き明かし、犯人をロジャー夫婦と限定する。

横柄で威張り散らすバリントンは嫌われ者で、ロジャーは競馬で多額の
借金があり、その清算のために遺産を目的としたもので、
派遣家政婦のミドルトンに成りすましたゾーイが、あごひげを
はやした男に扮し、自転車を盗み駅員に実在の人物のように印象づける。

ゾーイが実在しないあごひげの男を見たと主張、バリントンを
殺害したのは自分であるにも拘わらず、あごひげの男が窓から逃げたと
主張する。
当初殺害容疑で疑われたロジャーは、ロンドンでのアリバイを主張し
嫌疑が一旦は晴れるのだが、実は妻のゾーイと共謀していたことが、
暴かれるという凝りに凝ったストーリー。

そのトリックを見破るのは、番人の飼っている猟犬で、ミドルトン夫人が
身に着けていたエプロンの臭いからゾーイを割り出すという趣向。
ヘイスティングスの友人が犯人と言う結末だが、猟場の雰囲気等
とても珍しいシーンが映し出され、見応えのある作品となっている。

“ポワロは面白い”☆☆☆☆☆

2020年8月24日月曜日

ポワロは面白い29/戦勝舞踏会事件「The Affair at the Victory Ball」


☆戦勝舞踏会事件「The Affair at the Victory Ball
(1992年制作、レニ―・ライ監督、脚本:アンドリュー・マーシャル、原作:アガサ・クリスティー
デヴィット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、ポーリン・モラン、マーラ・クロウディー)

2412】 <strong>○ レニー・ライ 「<font color=peru>名探偵ポワロ(第 ... 2412】 <strong>○ レニー・ライ 「<font color=peru>名探偵ポワロ(第 ... 2412】 <strong>○ レニー・ライ 「<font color=peru>名探偵ポワロ(第 ...
   
ヘイスティングスの友人でラジオ局のプロデューサーからの依頼で、
戦勝記念の仮装舞踏会に参加するポワロは、もはや自らが有名人だからと
いう理由で仮装はしない、自尊心の強いポワロらしい理由である。
ヘイスティングスは、紅はこべの仮装をしている。

ポワロは、金持ちのクロンショーと5人の仲間がイタリア喜劇の一座に扮した
衣装で現れたのを目撃する。
クロンショー卿と婚約者で女優のココの口論の現場を目撃するポワロ。

憤慨したココが俳優仲間のクリストファーと帰ってしまった後で、
ダンスパーティーの会場の2階でクロンショー子爵がナイフで
刺され死体となって発見される。

翌朝、婚約者である女優、ココ・コートニーもコカインの接種の為
死体となって発見される。

クロンショーの伯父で骨董収集を趣味にするユースタス、
(金に困りクロンショーに金を強請っている)、そしてココと早めに帰った
クリストファー、ポワロは残された遺留品
・Cのイニュシャルの入ったピルケース
・クロンショーの手に握られたピエロの衣装から取れたボンボン
から、捜査に奔走するが、パーティーに同席していたことを
マスコミに知られ、名探偵の失態か?と揶揄されたことで
意地でも事件解決に灰色の脳細胞を駆使するポワロ。

ココがコカイン中毒だったこと、クロンショーと踊る約束をしていた
マラビー夫人が、2階にいるクロンショーに合津を送ると左手で
メモを取っていたクロンショーが手を揚げたことなどから、
右利きのクロンショーの身代わりが成りすまし、反行に及んだことを
見破る。

結局、犯人はココにコカインを売っていたクリストファーで、
先に殺しておいてから、クリストファーがクロンショーの衣装を着て
成りすましていたことが暴かれる。

ラジオ番組に出演して関係者を呼び、その場で犯人を暴くという
画期的な番組で見事犯人を暴くのだが、番組終了後、ラジオ局には
ひどい訛りの英語だと苦情が寄せられるが、ポワロはジャップ警部
のなまりがひどいからだと擦り付け、苦笑するヘイスティングスと
ジャップ警部のシーンでエンディングを迎える。

プライドの高いポワロの面目躍如という作品で、トリックが
手が込んでおり、クリストファーの妻も加担したためにてこずるが
結局はポワロに感化されてしまうという作品で、面白かった。

しかし、ポワロシリーズは製作費用が随分と掛かっていると思われ、
美術や大道具、小道具、衣装や車等どの作品も見事である。
ロケーション地域にしても昔の風情が残っている英国の各地を
うまく生かし撮影している。多くのファンが居る理由だろう。

“ポワロは面白い”☆☆☆☆☆


2020年8月22日土曜日

ポワロは面白い28/盗まれたロイヤル・ルビー「The Thief of the Royal Ruby」


☆盗まれたロイヤル・ルビー「The Thief of the Royal Ruby
(1992年制作、アンドリュー・グリーブ監督、
脚本:アンソニー・ホロヴィッツ&クライブ・エクストン、
原作:アガサ:クリスティー
デヴィット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、
フレデリック・トレベス)

名探偵ポワロ「盗まれたロイヤル・ルビー」』 1991年イギリス | じゅう ... G.M(自粛継続中) در توییتر "ドラマ『名探偵ポワロ』では別題「盗 ... 名探偵ポワロ「盗まれたロイヤル・ルビー」』 1991年イギリス | じゅう ...

一人静かなクリスマスを過ごす予定のポワロの楽しみは、読書にラジオに
お馴染みのチョコレート屋で購入する高級チョコレート。

そんなポワロの下へ英国政府の外務次官ジェズモンドから
呼び出しを受ける。
依頼は、エジプトの次期国王ファルークが、酔ってしまい大切な
ルビーを相手の女性に盗まれてしまい、宝石を奪い返して欲しいとこと。

ポワロは、そんな放蕩バカ息子の尻ぬぐいは、ポワロの仕事ではないと
断わるが、英国とエジプトのためにと無理やり、仕事を押し付けらる。
しかし、19歳と未熟で礼儀も知らない若き国王候補ファルークに
反感を持つのだが、、、、。

調査のためにエジプト学者レイシー大佐の自宅へ赴くことになった
ポワロは、楽しい家族に囲まれ、とても楽しそうでユーモア
溢れる作品になっている。

レイシー大佐宅で働く、コックのロス夫人、メイドのアニーの手助けや
レイシー大佐の子供達、ブリジット、コリン。マイケルの3人の遊び心を
上手く脚本に活かし、宝石強盗であるデズモンド、グローリアの
2人を追い詰めていく。

プディングの謎解きや、ホレース大佐がベッドから起きられない理由や、
ポワロのベッドにプディングを食べるなとのメモ等さまざまな伏線が
エピソードとして散りばめられ、ポワロをトリックに架けようとする
3人の子供たちの協力を得て、クリスマスらしいアットホームな
物語となっている。

孫娘のセアラがデズモンドに騙されていることに、ようやく気が付き、
ホレース夫人が安心するエンディングも楽しい。
飛行場の飛行機で逃亡しようとするデズモンドを追いかける
ポワロとデヴィットのチェイスシーンも楽しく描かれている。

ユーモア満載、ソフトなサスペンスが一杯の楽しい作品である。

“ポワロは面白い”☆☆☆☆


ポワロは面白い27/スペイン櫃の秘密「The Mystery of the Spanish Chest」


☆スペイン櫃の秘密「The Mystery of the Spanish Chest
(1992年制作、アンドリュー・グリープ監督、脚本:アンソニー・ホロウィッツ、
原作:アガサ・クリスティー

デヴィット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、
ジョン・マッキネリー)

 名探偵 ポアロ スペイン櫃の秘密 DVD Ca'Label: テレ・レコ・デコ 名探偵ポワロ「スペイン櫃の秘密」』 1991年イギリス | じゅうのblog ... 27] スペイン櫃の秘密(すぺいんひつのひみつ) : 名探偵ポワロの全70巻 ...
   
劇中、ダンスは苦手と言いながらチャールストンを軽快なステップで
踊るポワロが描かれている、資料によるとデヴィット・スーシェ本人が
踊っているとのことで、ポワロの意外な一面を見せている。

秘書のミス・レモンは休暇中でいないということで、出演場面はない。

ポワロとヘイスティングスは劇場で「リゴレット」を鑑賞、その劇場で、
知人のレディ・チャタートンと出会い、彼女の自宅へ出かけると
夫の嫉妬により、友人のクレイトン夫人が、夫に殺されるのでは
ないかと相談を受けていると伝え聞く。

パーティーに招待されたポワロは、ジョン・リッチ少佐、カーチス大佐、
マーゲリート等と出会う。
マーゲリートの夫、エドワードは出張しているという構成、
実は妻とリッチ少佐の中を疑っており、リッチ少佐の家の櫃に隠れて、
妻との不倫の事実を掴もうとしていたのだが、翌日櫃の中で目を
突きさされた悲惨な死体で発見される。

ポワロもそのパーティーに出席していたことから、名誉挽回とばかりに、
ポワロが捜査に乗り出すのだが、ジャップ警部はリッチ少佐を
容疑者として逮捕する。

調査を進める内に、マーゲリートを他にも慕う男性がおり、
些細なことでサーベルによる決闘をしていたことを突き止める。

ポワロは犯人をおびき出すため、ジャップ警部に一芝居打つように頼み、
マーゲリートの逮捕を依頼、リッチ少佐は釈放される。
案の定、マーゲリートは犯人ではないとポワロに電話があり、
クラブの体育館に呼び出される。

待っていたのはカーチス大佐で、マーゲリートに横恋慕していて、
マ-ゲリートから、エドワードがリッチ少佐との関係を疑っている
との告白を聞き、エドワードを殺害しリッチを犯人にしたてて、
邪魔者を排除しようと計画したことがポワロによって暴かれる。

カーチス大佐の剣先に怯えるポワロ、そこに登場する正義の剣士
リッチ少佐、2人の戦いでリッチ少佐が勝利し、晴れて犯人は
捕まるというストーリー。

ポワロが軽快にチャールストンを踊るシーンや、ヘイスティングスに
これからは“謙虚”に生きると宣言する等、意外な一面を見せる
作品で楽しめる。

“ポワロは面白い”☆☆☆


2020年8月19日水曜日

ポワロは面白い26/二重の手がかり「The Double Clue」


☆二重の手がかり「The Double Clue
(1992年制作、アンドリュー・ビディントン監督、
脚本;アンソニー・ホロウィッツ、原作:アガサ・クリスティー
デヴィット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、
ポーリン・モラン、キム・マーカム)

2411】 <strong>○ アンドリュー・ビディントン 「<font color=peru>名 ... 26] 二重の手がかり : 名探偵ポワロの全70巻リスト(TV放送日順で全話 ... 英国テレビ文庫itvコレクション 名探偵ポワロ 徹底解説 二重の手がかり

度重なる宝石盗難事件にジャップ警部がピンチ、首を懸けて解決に
挑むのだが、ポワロに助けを求めてくる。

そんなジャップ警部の心配をよそに、4件目の盗難事件が発生、
ジャップ警部は上司から圧力をかけられているという設定。

男性用の皮手袋とBPとのイニシャル入りのタバコケースが
手がかりとして残されていた。

事件の起きたハードマン邸に出向いたポワロは、そこで運命的な出会いを
するというストーリー。
ロシアからの亡命貴族ロサコフ伯爵夫人がポワロの恋のお相手となる。

ドラマの冒頭、ヘイスティングスがポワロに、結婚は?と訪ねると
“扱った事件で夫が妻を殺したのは5件、妻が夫を殺害したのは22件、
とても結婚する気にはなれない”と答える場面がある。
ポワロの女性観を表すセリフで興味深い。

盟友ジャップ警部のピンチに、ヘイスティングスと秘書のミス・レモンが
やきもきし、一向に捜査に動こうとしないポワロの代わりに捜査をするのだが、
予想通りうまくいかない。

ポワロに報告をするとあれこれアドバイスを貰うという結果に、
実はポワロは盗難事件の本命を追いかけ、せっせとロサコフ伯爵夫人とデートを
重ねていたのである。

ポワロと伯爵夫人のロマンチックなデートシーンが映し出され、いつもの
シリーズとはちょっと雰囲気が異なるのだが、ポワロはジャップ警部のために
しっかりと仕事をしながら、ロサコフ伯爵夫人を傷つけないように、灰色の
脳細胞を働かせることになる。

同業者の私立探偵事務所に足を運び、実際には存在しない犯人(浮浪者)
を探偵に依頼し演じさせ、盗まれたネックレスを窓の外の木の枝に
落としたように細工して、ジャップ警部の名誉を守り、伯爵夫人を国外へ
逃亡させる。

列車を見送るシーン、タバコケースを想い出に差し出すポワロ、
私のイニシャルと違うという伯爵夫人にロシア語だとイニシャルは
間違っていないと伝え、優しいキスを受ける。
まるで恋愛映画の切ない別れのシーンを見るような列車での別れのシーンが
映し出されエンディングとなる。

共に亡命者と言う立場がそうさせたのか、本当にポワロが恋をしてしまったのか、
余韻の残るエンディングとなっており、ジャップ警部は逃亡した犯人を
捕まえることはできないが、宝石を取り戻したことで面目を保つことになる。

そして、ロサコフ伯爵夫人がロンドンを去ったことで、盗難事件は
2度と起こらないという、手の込んだ脚本構成となっている

(ロサコフ伯爵夫人は、

“ポワロは面白い”☆☆☆☆☆


ポワロは面白い25/マースドン荘の惨劇「The Tragedy at Marsdon Manor」


☆マースドン荘の惨劇「The Tragedy at Marsdon Manor
〈1992年制作、レニー・ライ監督、脚本:デヴィット・レンウィック、
原作:アガサ・クリスティー
デビット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、
ポーリン・モラン、イアン・マクロック)

名探偵ポワロ「マースドン荘の惨劇」』 1991年イギリス | じゅうのblog ... 25] マースドン荘の惨劇 : 名探偵ポワロの全70巻リスト(TV放送日順で ... 名探偵ポワロ「マースドン荘の惨劇」』 1991年イギリス | じゅうのblog ...
   
ポワロとヘイスティングスは、ロンドンから遠く離れたマースドン村へやってくる。

理由は、ホテルの主人サミュエル・ジェームス・ノートンから事件の解決を
依頼されたと思ってのことだったが、到着して本人に会ってみると、
実は執筆中の小説の事件が複雑になり過ぎたので、ポワロに解決して欲しい
という依頼だったということで、少々おかんむりのポワロ。

事件解決に、ホテルの主人が大いに貢献するシーンがあるのも楽しめる。
しかし、そのころマスド―ソン荘の主人、マルトラバース氏が
死体となって発見される。

前半、恐怖に怯えるマルトラバースの妻スーザンのいくつかのエピソード、
スーザンに恋をしているマルトラバースの友人ブラック大尉なる人物の登場等が
描かれ、幽霊が出るという噂やマルトラバース氏の秘書ミス・ローリンソンの
無気味な表情等何か呪いの様な恐ろしい出来事がマスド―ソン荘に
起こっている様なイメージを与える演出となっている。

その一方で、蝋人形館にポワロの人形が陳列され、民間防衛訓練でガスマスクを
つけて訓練する場面が映し出されたりと、息抜きの様な場面も見ることが出来る。

主治医の情報から病気だったマルトラバース氏が少しづつ回復してきていたことや
ジャップ警部の検視報告の情報等から、事件はポワロの名推理が
冴えてお金目当てのスーザンの犯行だったことがポワロによって暴かれる。

アガサ・クリスティーは女性だからこそ、女性の心理の複雑さが良く解るがゆえに、
女性が殺人に関わる作品を多く発表したのだろう。

今作でも、ブラック大尉がスーザンへ向かって“僕のためにやったのか?”と
問いかけ、スーザンは苦笑いし無言で立ち去るという場面があるが、
お人よしの男に対し、そんなこと考えもしていないわよ、お金の為よと
捨て台詞を心の中で吐いている女性、皮肉だが、女性への幻想を抱き続ける男と
もっと現実的な女性が描かれ、とても興味深い。

ポワロシリーズでも、女性が犯行の主犯だったり、協力者だったりと女性の犯人が
多いのも、クリスティーが世の中の男性に対し、女は現実的で内面は複雑なのよと
訴えているようである。

そういう意味からも面白い作品だった。

“ポワロは面白い”☆☆☆☆☆