☆葬儀を終えて「After the Funeral」
(2005年製作、モーリス・フィリップス監督、
脚本:フィロミーナ・マクドナー、撮影:デヴィッド・ヒッギス、
音楽:クリストファー・ガニング
デビット・スーシェ、ロバート・パサースト、
ジェラルディン・ジェイムズ、マイケル・ファスベンダー、
モニカ・ドーラン、ジョン・カーソン、アントニー・バレンタイン)
遺産相続をめぐる殺人事件、ミステリーの女王らしいクリスティ作品で、
ポワロシリーズの中でも、地味な作品だがとても面白い作品である。
富豪アバネシ―家の当主リチャードが死亡する。
葬儀を終えた後集まった親族の会合で、遺産の配分が遺言によって発表される。
弟、亡き弟の妻、妹、甥、2人の姪に分配されるいう内容で、末妹の
コーラが喜び、思わず“リチャードは殺されたんでしょう?”と発言する。
当初、リチャードの甥ジョージにすべて譲るという遺言があったことを
知るエントウィッスル弁護士は、不審に思い、葬儀の翌日コーラが
惨殺されたことで、疑惑はますます深まり、真相を知りたいと弁護士は、
エルキュール・ポワロに調査を依頼する。
ドラマでは、リチャードの住んでいたエンダビー・ホールへ向かう
列車の中で、説明を受けるポワロ。
エンダビーに到着し家族の不穏な空気を察知、調査依頼を引き受け、
地元警察のモートン警部の協力を得て、事件解決に向けて奔走するという物語。
ジョージに遺産のすべてが譲られるという話には、実はジョージは
リチャードの実の息子だったというストーリーがあり、ジョージは
そのことを知って以来、母親ヘレンを許さないと絶好状態。
その上、ジョージはリチャードの姪スザンナと恋人関係にあるという複雑さ。
殺されたコーラの話し相手で、料理等も作って同居しているギルクリストが
重要な人物として描かれ、コーラが描いていた絵に隠された秘密が
事件の背景にあることが暴かれる。
さまざまな不審な人物が描かれるのはポワロシリーズの特色で、
リチャードと仲の悪かった弟ティモシー夫婦、女優でスザンナの
妹夫婦等が不審な挙動を示し、ポワロの推理を惑わす。
ギルクリストとの会話の中で、辻褄の合わない話(テーブルの上の置物)を
聞いたことや、ヘレンが20数年ぶりに会ったコーラに抱いた
不思議な感情などがヒントとなり(そのため、ヘレンは後頭部を
殴られ気絶する)、ポワロらしく、形見分けで全員の集まった
エンダビー・ホールで真相を暴くというストーリー。
コーラは、葬儀の前にギルグリストによって殺害されており、
コーラに変装したギルグリスとは、コーラの絵を相続したいと申し出る、
実はレンブラントの絵にきずかないコーラの書いた絵を
レンブラントの絵の上に貼り付け、その絵を形見として
貰うという計画だったことが明かされる。
ギルグリストは、致死量には満たないヒ素の入ったケーキを食べ、
自分も狙われたという偽装工作をしていたという念の入った悪女振り。
ポワロによって暴かれた真相を知った家族はそれぞれの家へ戻り、
スザンナは慈善活動をと呼び掛けていたアフリカへと出発するという
エンディング。
濃密な内容で、とても好きなストーリーである。
“ポワロは面白い”☆☆☆☆☆(満点!!ポワロシリーズ最高点!!)
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