2021年8月21日土曜日

ポワロは面白い54 青列車の秘密 「The Mystery of the Blue Train」

 

☆青列車の秘密「The Mystery of the Blue Train

(2005年制作、ヘディ・マクドナルド監督、脚本:ガイ・アンドルーズ、

音楽:クリストファー・ガニング、撮影:アラン・アーモンド

デビット・スーシェ、エリオット・グールド、ジョージナ・ライランス、

ジェイミー・マリー、ジェームズ・ダーシー、ニコラス・ファレル)

 

 イギリスの玄関口カレーから、ナント、マルセイユ、ニースを経由して走る

豪華寝台列車(カレー・地中海急行)が舞台になっている殺人事件で、

列車の経営母体はオリエント急行と同じ、ワゴン・リー社である。

 

但し列車内部の映像等はセット撮影であることは当然であろう。

殺人事件の背景に、石油王ヴァン・オールデン(エリオット・グールド)

の娘ルース(ジェイミー・マリー)への溺愛と夫デレク(ジェームズ・ダーシー)

との不仲が描かれ、殺人事件への関与を匂わせる脚本が散りばめられている。

 

父親ヴァンが娘に与える真っ赤で大きなダイヤの存在も、

殺人事件の動機として描かれ、怪しげな人物がルースの周囲に

集まっているという設定。

そんな欲望渦巻く、今作に清涼感を吹き込んでいるのは、富豪から

遺産相続を受けたキャサリン(ジョージナ・ライランス)。

 

パークレーンホテルのレストラン、ワインで戸惑っている彼女に

救いの手を差し伸べるのは、我らがフェミニスト、名探偵ポワロで

素敵な叔父さん役として彼女をサポートし続ける役割も担っている。

 

不穏な雰囲気の漂うルースとデレク夫婦、そこにルースを愛していると

詐欺師で賭博師のラ・ロッシュが現れ、甘い言葉に巧みに誘惑された

ロッシュはルースの愛人として、青列車にも乗り込んでくる。

そして正体不明の黒人女性ミレルも乗りこんでいる。

(この女性は、娘の離婚を成立させたいヴァン・オールデンが愛人を送り込み、

デレクを誘惑させ不倫現場を抑えようと送り込んだ女性であることが判明する。)

 

ヴァン・オールデンの秘書で元軍人のナイトン、ルースのメイド、

アダ・メイソンは、主人の付き添いで乗車、他にもキャサリンの

親戚タンブリン夫人が若い夫と娘を連れて、破産寸前の家計を

救ってもらうためにキャサリンに早く会いたいと乗り込んでくる。

 

さまざまな思惑の人達を乗せて、ブルートレインが発車する。

途中の停車駅で、メイドや秘書が下車、タンブリンの夫コーキーが、

ホームに出た際に拾う赤い石の疑惑等さまざまな伏線が貼られた脚本が面白い。

 

ルースはキャサリンと密会する為、部屋を交代していたのだが、翌朝顔を

判別できないほど殴られて惨殺死体として発見される。

なぜ、顔を潰すほど殴ったのか? ダイヤはどこに消えたのか? 

殺害の犯人は誰なのか?

 

ルースが亡くなって最も得をするのは、だれか?

しかし、夫のデレクにはアリバイがあり、証人も2人いるという状況。

そんななか、タンブリン夫人の別荘で休んでいるキャサリンが襲われる、

その場にいたタンブリンの娘が激しく抵抗し、首筋に歯型をつけ、追い払う。

 

キャサリンは何故、襲われたのか?

ナイトンは、戦争で傷ついた際、タンブリン夫人に看病され、この別荘に

滞在していたことが、壁の新聞の切り抜きで判明する。

 

さまざまな謎がポワロの頭を駆け巡り、ポワロは結論に達するという展開。

客車の部屋の人物に犯人が変装し、時間を偽装するトリック、

主人の命令で一旦列車を降りた犯人がまた乗車してくるトリックなど、

ポワロを悩ませるのだが、国際的な宝石泥棒だったナイトンが

恋人関係だったアダに協力させ、ルーsシーを殺害、

ダイヤを奪ったことが判明する。

 

キャサリンにナイトンが惚れたことに嫉妬したアダがキャサリンを

襲撃したことも判明、キャサリンを人質に生き延びようとした

ナイトンだったが、ポワロの説得に観念したのか、

みずから列車に跳ねられ死亡する。

 

寝台列車内の犯行、赤いダイヤを巡る国際的な泥棒との知恵比べ、

クリスティは小説の出来映えに不満だったらしいが、

ドラマとしてとても面白い作品で好きな作品である。

 

それにしても、ポワロの素敵な叔父さんぶりが楽しかった。

 

“ポワロは面白い”☆☆☆☆

 

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