☆オリエント急行殺人事件「Murder on the Orient Express」
(2010年製作、フィリップ・マーティン監督、
脚本:スチュワート・ハーコート、
♪:クリストファー・ガニング、クリスチャン・ヘンソン、
原作:アガサ・クリスティ
ボネヴィル、デヴィット・モリッシー、ジェシカ・チャスティン、
バーバラ・ハーシー、ズサンネ・ロータ、アイリーン・アトキンス、
マリー=ジョゼ・クローズ、スタンレイ・ウェーバー、エレナ・サチン、
ジョゼフ・マウル、サミュエル・ウェスト、ドゥニ・メノーシェ)
1974年製作の映画
・「オリエント急行殺人事件:Murder on the Orient Express」
が、エンターテイメント色溢れた豪華キャスティング、濃密なストーリー構成で、
世界中でヒットした印象が強く、果たしてどのような作品に仕上がるのか、
興味深かったが、映画版とは異なり、敬虔なカトリックという
ポワロの宗教観が色濃く出た作品となっている。
ストーリーは良く知られており、今作でも大筋は原作通りだが、
オリエント急行に乗車する前の事件や鞭打たれる女性を見かけた
ポワロの言葉など、ポワロの宗教観が読み取れる。
トルコからフランスへ向かうオリエント急行に乗り込んだポワロ。
アメリカの富豪ラチェットから、警護を頼まれるポワロだったが、
断るポワロ。
大雪で立ち往生する列車内でラチェットが殺害される。
今作では窮地の車掌長プークから捜査を依頼されたポワロは、
この難事件に挑むことになる。
死亡推定時刻は夜中の12時から1時の間、刺し傷は12か所に及び
他の車両から事件のあった車両には入れない一種の密室だったこと、
降りしきる外の雪には足跡がないことなどから、ポワロは殺人犯が
車内にまだいると判断、乗客を食堂車に集め、捜査を開始する。
殺されたラチェットは、5年前に起こった少女誘拐殺人事件の首謀者
であること、そして乗客全員がその事件の関係者であることが
判明してくる。(1932年に起こったリンドバーグ愛児殺人事件に
ヒントを得て、原作は執筆されている)
12人による殺害事件というのは、キリストの十二人の使徒にも
通じるところがあるのかと思わせる内容で、過去の誘拐殺人事件の
犯人が、復讐されるという物語。
12目の関係者が全員犯人であることを暴くポワロが、犯人を
捕まえさせないというエンディングも印象深い作品である。
作品全体のトーンがちょっと暗く、犯人を特定したポワロが、犯罪を
明らかにするか否か、悩むシーン、最後は神にすがるという珍しい
シーンも描かれている。
オリエント急行として撮影された列車は、
・「青列車の秘密」
でも使用された車内と同じものとのこと。
また、スタジオでの撮影が多かったらしい。
作品としては充分楽しめるのだが、どうしても映画版と比較して
しまうと、スケール感、キャスティングの豪華さ、演出構成の
匠さ等、映画版の方に軍配が上がってしまうが、
・映画版100点
とすると
・ドラマ版85点
といったところか。
“ポワロは面白い”☆☆☆☆☆
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