☆ナイルに死す「Death on the Nile」
(2004年制作、アンディ・ウィルスン監督、脚本:ケビン・エリオット、
撮影:マーティン・ファーラー、音楽:クリストファー・ガニング、
原作:アガサ・クリスティ
デビット・スーシェ、エマ・マリン、JJ・フィールド、
エミリー・ブラント、デビット・ソウル、ジェームズ・フォックス、
フランシス・デ・ラ・チュア、ゾーイ・デルフォード、
バーバラ・フリン、フェリシテ・ド・ジュー)
1978年、ピーター・ユスティノフ主演で制作され大ヒットした映画
・「ナイルに死す:Death on the Nile」
が有名だが、テレビ版でもエジプトロケを敢行し、臨場感溢れる
リアルな画面を見せてくれる。是非、映画版と見比べて欲しい。
但し原作で描かれている場所は、かなり変更され代替え地で撮影されている。
(エル・セブア神殿はルクソール神殿に、
アブ・シンベル神殿は、ハトホル神殿に)
制作チームが変更となり、新体制となってからの初めての作品で、
それまでのアットホーム的な雰囲気
(ヘイスティングス、ジャップ警部、ミス・レモン)が無くなり、
マンネリ感を打破しようと、シリーズの仕切り直しに挑んだという。
従って、今までのレギュラーメンバーは、最終シーズン
「ビッグ・フォー:The Big Four:13」迄出演しないことになる。
新製作スタッフとしては最初の作品だが、放映順としては3番目となっている。
エジプトでのロケーション撮影が、ビジュアル的効果を高め、
旅情を感じさせ、エキゾチックな作品となっている。
ナイル川を航行する観光客船カルナック号がとても魅力的で、
旅行好きだったクリスティの旅情作家としての一面も良く出ていて、
観光的な魅力が溢れる作品となっている。
カルナック号として撮影に使用された客船は、現在もナイル河クルーズに
使用されており「スーダン号」が正式な名称。
ポワロと捜査を共にすることになるイギリス諜報機関所属のレイス大佐役は、
イギリス出身の俳優らしく、優雅な雰囲気を感じさせ、大作映画にも
多数出演している名優ジェームズ・フォックス、リネットの財産管理人を
演ずるのは
・「ダーティー・ハリー2:Magnum Rorce:73」
やテレビドラマ「刑事スタスキー&ハッチ:Starsky&Hutch」で
活躍したデビット・ソウル、若かりし頃のエミリー・ブラント(撮影時20歳頃)
等のキャスティングも成功し、サスペンス・ミステリーらしい出来映え。
原作の登場人物を割愛、原作と人物像に若干違いはあるものの、大筋は
原作に沿っており、綿密に練られた計画を暴いていくポワロの
名推理ぶりが面白い。
アルコール依存症の女流作家を演じたサロメ・オタボーンの怪演や、
宝石泥棒、社会主義的思想の金持ち貴族、オーストリ人の医師、
怪しげな行動のメイド等を登場させたストーリーが面白いのだが
演ずる俳優達も雰囲気を良く出している。
親友に恋人を取られたように周りに思わせる、その周りの思い込みを
上手く利用した遺産乗っ取り殺人劇を描いており、アガサ・クリスティの
ポワロシリーズを代表する作品となっている。
但し、殺人が多すぎて、結局犯人は、身代わりの犯人を
誰にしようとしたのかが、よく理解できなかった感じはある。
遺産を奪い取る計画だったからには、自分達が犯人では目的は
達成できないわけで、犯行を疑われたという理由で、
メイドと作家を殺してしまうのは、結局犯人として
いずればれてしまうということだと思うのだが、、、、、。
そんな理屈は必要なく、純粋にエジプトロケーションを楽しみながら、
デビット・スーシェのポワロを楽しむ作品で、
十分期待に応える作品となっている。
“ポワロは面白い”☆☆☆☆
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