☆メソポタミア殺人事件「Mueder in Mesopotamia」
(2001年制作、トム・グレッグ監督、脚本:クライブ・エクストン、
撮影;ケヴィン・ローリー、音楽;クリストファー・ガニング、
原作:アガサ・クリストファー
デビット・スーシェ、ヒュー・ジャクソン、ロン・バーグラス、
バルバラ・バーンズ、ジェレミー・ターナー・ウェルチ、
パンドラ・クリフォード、クリストファー・ハンター、ディナ・スタッブ)
ロサコフ夫人からの便りを受けたポワロは、ロサコフ夫人の滞在する
バグダットを訪れるが、滞在予定のホテルにはおらず、
近くの遺跡発掘場所を訪ねていたヘイスティングスの所へ向かう。
ヘイスティングスの甥が遺蹟現場で働いているという設定。
発掘現場の責任者ライドナー博士夫人ルイーズが、男を虜にし、現場で働く
女性達にも反感をかい、現場は不穏な空気が漂っており、夫人から脅迫状に
まつわる過去からのいきさつや、部屋をのぞく無気味な顔の件を打ち明けられる。
悪い予感的中で、案の定、夫人が殺されるという事件が起こる。
ドラマの冒頭、現地人が殺されるシーンがあるが、ドラマ前半で発掘隊員の
ジョセフ・マーカードが自殺するが、これは麻薬がらみでドラマの本筋とは
無関係なエピソードだとわかる。
並行して遺跡から発掘された陶器などの盗難や偽物売買の事件が絡み、
複雑な脚本となっており、密かにライドナー隊長を慕う発掘隊員のアン、
夫人の部屋をのぞく不審者や神父で考古学者というラヴィニーの怪しげな言動、
夫人と恋愛関係にあったケアリーの存在等ポアロの推理を妨げる
さまざまな人物が登場する。
遺蹟の宿泊所では落ち着かないポワロは蚊と格闘するがこのエピソードが
何とも楽しめる。ロザコフ夫人会いたさにバグダットへ戻るものの、
ロザコフ夫人は戻っておらず、がっかりするポワロ。
ホテルのフロントとのやり取りも楽しいシーンである。
物語りの進展と共に、殺人犯に気付いたアンは、宿泊所の屋上で下を
見つめながら佇んでいたのだが、薬に入れられた塩酸によって殺されるのだが、
死ぬ間際に“窓”という言葉を残して息絶える。
窓の謎にとまどうポワロ、アンの部屋から血痕のついた石臼が発見される。
殺人のトリックにようやく気付いたポワロは、メイトランド警察署長の協力を得て、
殺人の謎解きをするというストーリー。
原作者のクリスティーは、1930年中東を専門とする考古学者と再婚し、
度々イラクやシリアの遺跡を訪れており、第1次世界大戦後の
イギリス委任統治を経てイラク王国が成立、石油や軍事の面では
イギリスの影響下にあった。
クリスティーの作品でエジプト等が登場するのもその影響と言われている。
結局ラヴィニー神父の件も、ポワロの電報による問い合わせで
本人ではないことが判明、単なる遺跡泥棒で逃走するものの、
メイトランド署長が国境に警備を手配するという展開で、
このエピソードも本筋とは無関係で、ポワロの長編ドラマでは度々、
このようなストーリーが展開される。
結局、バグダットを離れる日迄ロサコフ夫人は現れず、伝言が残されていて
“滞在費を立て替えておいて”という伝言。
渋々支払うポワロ、それを見つめるヘイスティングス このシーンで
エンディングとなる。
エキゾチックな旅行ものともいえるストーリー展開は、観客にはとても魅力的。
“ポワロは面白い”☆☆☆☆☆
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