2021年8月22日日曜日

ポワロは面白い57 満潮に乗って「Taken at the Food」

 

☆満潮に乗って「Taken at the Food

(2006年制作、アンディ・ウィルソン監督、脚本:ガイ・アンドルーズ

撮影:スーエ・ギブソン、♪:クリストフー・ガニング

デビット・スーシェ、エリオット・カウアン、エバ・バーシッスル、

アマンダ・ダウジ、パトリック・パラディ、リチャード・ソープ、

ジェニー・アガタ)

 

資産家ゴードン・クローブの館に集まる親族たち、そんな親族が

クロード邸に入ろうとした矢先、ガス爆発事故が起き、

クロード家の家主や従業員は全員死亡、爆発の中から、ゴードンの

新妻ロザリーンとロザリーンの兄ハンターが奇跡的に生還する

という前日談が描かれる。

 

ポワロが知っているゴードンの妹の娘リンが、アフリカから帰国する。

リンは、ゴードンの甥ローリーとの婚約が決まっていたが、

彼女本人の望む結婚ではないという背景が事件に影を落とす。

 

ゴードンの新妻を見た事の無かった親戚一同は、それまで、

ゴードン・クロードから支援を受け生活に不安はなかったのだが、

ロザリーンの兄ハンターによって、資産が厳しく管理され、

親族にも援助をしなくなったことで、親族からは辛辣な言葉が

浴びせられ、ロザリーンには脅迫めいた電話がかかってくる。

 

ロザリーンの前の夫で、アンダーヘイの所在を知っているという男が登場、

ロザリーンとハンターを強請る。アンダーヘイが生存していると

ロザリーンが二重婚となり、遺産の相続が認められないことになる。

慌てる2人は脅迫された金額を支払う工作をするのだが、、、、。

 

ポワロが滞在するホテルスタッグ・インに旅装を説いた男は、

翌朝、朝食を運んだ店主ピアトリス夫人によって死体が発見される。

 

強請られたハンターとロザリーンが警察の聴取を受けるが、ロザリーンは

ロンドンに滞在、ハンターも7時過ぎの列車に乗るまでは、

ローリーの婚約者でポワロを良く知るリンと会っていたことが判明し、

ハンターは釈放される。


さまざまな推理が為され、ハンターの疑惑は深まるが、確証がない中、

ポワロはロンドン警視庁にある問い合わせを依頼、ポワロが苦手な

スタッグ・インの滞在客レドベター夫人から男の部屋から出てきた女性を

見たと聞く。

 

からくりが解けたポワロは、事件関係者をスタッグ・インのパブに集め、

スタッグ・インの男性客殺人は、ゴードンの妹アデーラが依頼した実の兄が、

成りすました男で、その事実を知ったローリーに殴られ、暖炉の角に頭を

ぶつけ死亡したことがポワロによって暴かれる。

 

審問会で証言したジェームズ・ポーター少佐は、亡くなった男が

アンダーヘイだと嘘の証言をしたことを悔いて自殺する。

証言を依頼したのは、ローリーだったことも判明するが、その2件は

いずれも偶発的な事件で、これから説明する事件程残酷で

冷酷な殺人はないと、事件の概要を説明する。

 

ロンドンでの爆発事故の真相は驚きべきもので、ダイナマイトを仕掛けて

ハンターは、資産家のゴードンと結婚した妹ロザリーンを妬み、

メイドだった女性をロザリーンにしたて、誰もロザリーンを

知らないことを利用し、全員死亡したのをいいことに、

成りすましていたこと、ロザリーンはヘロイン中毒で、ハンターが

薬を管理しており、従うしかなかったことなどが明かされる。

 

そして、スタッグ・インの殺害も実はロンドンには行ってなく、

犯行時間を誤魔化すために、女性に変装し、殺害された男が実際よりも、

もっと遅く殺された工作をしていたことも、ポワロによって暴かれる。

 

一時的にはハンターを愛したと信じたリンだったが、計画に利用された

だけとようやくきずき、再びアフリカへと旅立っていく。

大好きな手紙を書いてねと、依頼されたポワロは、朝食のゆで卵を2個、

テーブルの前において、にっこり微笑む場面でエンディングとなる。

 

非常にポワロらしい、複雑なストーリーで、とても面白かった。

ミステリーらしい作品で、ハンターを演ずる俳優のオーバーな

演技がちょっと鼻に付いたが、良い出来だったのではないだろうか。


スタッグ・インの店主や滞在客の女性がユーモアを付け加え、

茶目っ気たっぷりのポワロも楽しそうである。

この作品で、ポワロの執事ジョージが(デヴィット・イエランド)が、

初出演となるのも注目である。

スペンス警視役のリチャード・ホープも、この後の作品でも同じ役で登場する。

 

“ポワロは面白い”☆☆☆☆

 

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