☆エンドハウスの怪事件「Peril
at End House」
(1989年製作 レニー・ライ監督、脚本:クライブ・エクストン、撮影:ピーター・バートレット、音楽:クリストファー・ガニング(テーマ曲)、レチャード・ヘイソン、
デビット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、ポーリン・モラン、ポリー・ウォーカー、ジョン・ハーディング、エリザベス・ドウンズ)
シリーズ初の長編第1作。
舞台は南イングランド、コーンウォール半島の架空の保養地セント・ルー。飛行機の嫌いなポワロは、飛行中ほとんど目をつぶって座席をしっかり握りしめているのが可笑しい。
滞在先のホテル(マジェスティック)で、ウェイターが呼んでも来ないことに苛立ったポワロが、業を煮やしてウェイターを呼びに行ったときに、足をひねって、ニック嬢に助けてもらったことから事件は始まる。
エンドハウス荘は抵当に入っている状態で、財政的に厳しい状況の中、
ニック嬢が3度も事故に遭ったと言い、ポワロと話している際もモーゼル銃で狙われ、帽子に穴が空いたことで、銃弾がポワロによって発見される。
3度の事故というのは、
・ベッドの上に欠けていた絵が落ちてくる
・坂道でブレーキが利かなくなる
・崖から岩がニックめがけて落ちてくる
というもので、友人のライス夫人は、ニックの嘘だと相手にしない。
何かの事件に巻き込まれていると感じたポワロは、ボディ・ガードを買って出るのだが、ポワロの助言によってヨークシャーから呼び寄せた従姉妹のマギーが、花火の夜、ニックのケープをまとっていたために彼女と間違われ、
拳銃で殺される。
ニックに好意を持っている海軍中佐ジョージやライス夫人と恋人のザイラス、オーストラリア出身の庭師のクロフト夫婦、使用人のエレンとその夫、弁護士でニックに好意を持つ従兄弟のバイス等怪しげな人物が登場、ミステリーを盛り上げていく。
ラジオでは、飛行家シートンが世界一周飛行の途中遭難したことを告げている。実は、マギーとシートンは婚約をしていて、莫大な財産を相続することになる
ことを知っていたニック嬢はシートンの婚約者であるマギーに成りすまし、
遺産をせしめようという計画だったのだが、ポワロによって暴かれるという二転三転するストーリー。
ニックが事故に遭うのは、シートンの事故が新聞で騒がれ始めた頃からで、
ポワロは、シートンの莫大な財産が事件の背後にあると推測する。
ニックは遺言状を書いたと言っていたが、その所在は不明。
シートンも遺言状を作成していることが、マギーへのラブレターに触れられている。
殺人事件より、ゴルフを優先してポワロにたしなめられるヘイスティングスは相変わらずのトンチンカン振りで、終盤には、シートンの弁護士に会うため、ロンドンへ出張しろと言われ、目を丸くするヘイスティングス。
しかし、ヘイスティングスの聞き込みで莫大な遺産がミスバックリーに残されていたことが確認され、その遺言状はミスバックリー宛に送付されていたことが判明する。
後半は事件の捜査で駆け付ける(出張費が出ないので、ポワロが宿泊しているホテルには泊まれないとぼやく)ジャップ刑事やミスレモンも登場し、最後には、遺言状の偽造やコカインの密売組織(ライス夫人やジョー、ジョージが関係)も暴いてしまうというサービスぶり。
クライマックスは、ニック嬢が入院している病院で、ポワロからの見舞いの
チョコレートが届き、それを食べて死亡するという事件が起こる。
実はチョコレートは入院しているニックが、ライス夫人に依頼したチョコレートだったことから、ポワロの灰色の脳細胞が混乱する。
ミスレモンとヘイスティングスのファーストネームの略称遊びから事件の本質に気付くポワロ。
綺麗で若い女性を守ろうとしたポワロだったが、実はシートンの莫大な遺産を
巡っての単純な事件だったことに気付く。
特に、突然ポワロから霊媒師になれと言われるミスレモンが笑える。
ニックは死亡しておらず、霊媒術で現れるニック嬢、実は死亡していなかったのである。
事件を解決したあと、海辺でくつろぐ4人、ソフトクリームを食べるシーン、ポワロが髭にアイスクリームが、つかない様に、かばって食べる仕草が笑える。さまざまなエピソードに伏線が沢山詰まっている作品で、楽しかった。
ニック役のポリー・ウォーカーがなかなか美人の女優さんだった。
“ポワロは面白い”☆☆☆☆☆
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