2020年7月20日月曜日

ポワロは面白い12/ベールをかけた女「The Veiled Lady」


☆ベールをかけた女「The  Veiled  Lady
(1990年、監督:エドワード・ベネット、脚本:クライブ・エクストン
原作:アガサ・クリスティー
デビット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、ポーリン・モラン)
 
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ポワロが宝石強盗の女性に騙され、変装して盗みに入るのだが、捕まり刑務所へ入ってしまうという珍作。

事件の依頼が無く、自信家のポワロは、悪人がみなポワロを恐れてしまったのかと嘆く、そんなことはないとジャップ警部は反論するというスタートとなっているが、退屈な様子のポワロの下に、ベールをまとい伯爵令嬢になりすました泥棒ガーディが訪ねてくるのだが、事務所ではなくホテルのロビーで会うこととなる。
婚約をしたのだが、昔交際をしていた時の手紙を脅迫材料にされているので、その手紙を持ち主のラビントンから取り返して欲しいとの依頼。

ウィンブルドンのゴッドバー家に鍵職人を装い、自転車に乗り、訪ねるのだが家政婦のゴッドバーに邪魔され手紙を探すことができない、非常手段に出るポワロ、何と盗みに入ろうという計画。
自転車に乗るポワロを見られる唯一の作品だろう。
それと、家政婦との会話の中で、フレッド・ペリーが連続優勝したとの会話があることで、1934~36年ごろの時代設定とわかる。

泥棒らしく、黒装束に身を包み、帽子をかぶりすっかり泥棒になりきり、探し物の手紙を苦労の挙句見つけるのだが、物音で気が付いた家政婦が警官に連絡し見つかるシーン、体当たりで窓を破り逃げるヘイスティングス、おとなしく捕まるポワロ、その際家政婦に罵詈雑言を浴びせられ、苦い表情のポワロ、なかなか面白い。

逃げ切ったヘイスティングの連絡で、刑務所へやってきたジャップ警部に狂犬と呼ばれている極悪人だと揶揄され、ふてくされるポワロの表情など見所もたっぷり。

ポワロが家宅侵入し、宝石泥棒に騙され、手紙の入った中国製の小箱を見つけるのだが、実はそのからくり箱には、バーリントンアーケードからドラマのオープニングのエピソードで盗まれた宝石が入っており、ガーディの目的は、その宝石を盗むことだったという落ち。

ガーディにはウェザリーと言う仲間がいて、そのウェザリーはラビントンを殺害し、ラビントンに成り代わり、ポワロの前に現れ、交渉に応じないのは、
実はポワロに小箱を探させようとの魂胆だったというストーリー。

1930年代半ばを時代背景としているが、何故かポワロ作品には、中国人や中国製の小物が頻繁に出てくる。一種神秘的な響きを持っていたものか、アガサ・クリスティーが東洋的なものの代表として中国を登場させていたものと思われる。

美人に弱い、ポワロとヘイスティングスが描かれており、とても楽しい作品である。

“ポワロは面白い”☆☆☆☆


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