☆誘拐された総理大臣「The
Kidnapped Prime Minister」
(1991年制作、監督:アンドリュー・グリーブ、脚本:クライブ・エクストン、原作:アガサ・クリスティー
デビット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、ポーリン・モラン、リサ・ハロー)
国際連盟のドイツ再軍備に関する会議のため、フランスに渡った総理大臣が、
襲撃され、その後、誘拐されるという事件が起こる。
政府関係者が、ジャップ警部の推薦でポワロに総理大臣の捜索を依頼する。
総理大臣に同行した運転手とダニエルズ中佐に事情を聴いたポワロは、
首相が誘拐されたというフランスへは出向かず、イギリス国内でばかり捜索
するのだが、、、、。
実はケガを負った首相が、列車に乗り込み姿を見た側近たちは、
包帯を頭から顔に巻いていたため、首相かどうかは誰も確かめていなかった
という説明となっている。要は身代わりだったということで、いち早く
そのことに気付いたポワロは、イギリス国内に留まっていたという理由である。
時間のない中で、焦る政府要人たちは、ジャップ警部に皮肉を並べ、
大丈夫かと心配するのをよそ眼に、マイペースのポワロは、ダニエルズ中佐と
運転手の背後関係や出身地、家族関係を洗い出し、盟友ヘイスティングスに
ダニエルズ中佐夫人の尾行を命じ、カーチェイスの末、地域を特定し首相を
拉致している場所が導き出されるという展開。
アイルランド出身のダニエルズ中佐、夫人の復讐劇という顛末なのだが、
ダニエルズを訪ねた際、聖母マリアを飾っていたことでカトリック信者と見抜き、
カトリックの多いアイルランド出身と事件の背景を察知するあたりは
如何にもポワロらしい。
ちなみに、イギリスはプロテスタント(英国国教会)が多数派である。
車好きのヘイスティングスのカーチェイスも登場、何よりも面白いのは、
背広のサイズを図るシーンと仮縫いのシーンが、前半と後半に出てくるのだが、
サイズが合わないのは寸法が違うのだと太ったためと
認めないポワロの主張が笑える。
ちなみに、店主はサビル・ロウの仕立屋はみんな自分の教え子だと、
自信満々で、ポワロもポワロなら店主も相当な頑固者で、ほっとするシーンと
なっている。
総理大臣誘拐事件とはいっても、淡々としたタッチで、大げさな描写は全くない。
“ポワロは面白い”☆☆☆☆☆
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