☆クラブのキング「The King of Club」
(1988年製作、レニー・ライ監督、脚本:マイケル・ベイカー、
撮影:ピーター・ジョセップ、音楽:クリストファー・ガニング
デヴィット・スーシェ、ヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、
ナイアム・キューザック、デヴィット・スィフト、ジャック・クラフ)
事件の真相に辿り着きながらも、犯人を暴かない珍しいケースである。
モラニア国の皇太子と婚約中の女優ヴァレリーは、契約の代償として、
撮影所の大物プロデューサー/リードバーンから、演技にさまざまな注文を
付けられ、その上権威を笠に着て、言い寄られているのを苦痛に感じていた
という構成。
リードバーンは、情け容赦ないプロデューサーで、大物俳優を台詞覚えが
悪いと解雇する、監督にも情け容赦ない要求を突き付ける。
自宅に呼ばれたヴァレリーが、リードバーンの家から出て車で立ち去る
ソーンバーグ監督を見かける、その直後、ヴァレリーが死体を発見し、
隣の家オグランダー家に駆け込み警察に通報する。
婚約者のモラニア国皇太子から、スキャンダルが起こると王家に、婚約を認めて貰えないと調査を依頼されるポワロ。
ジャップ警部が駆けつけ、捜査の陣頭指揮を執り、ポワロも協力すること
になる。監督は、ラッシュを鑑賞するためにリードバーン邸を訪れたことが
判明する。
映画撮影の風景や、背景画像をどのように撮影するかなどの場面が
描かれていて、なかなか興味深い。
実は、隣の家オグランダー家にヴァレリーが通報の為に、駆け込んだ時は、
家族でカードゲームをしていたということだったが、ポワロはカードが
1枚不足(クラブのキング)していることに気付く。
(トランプは51枚でゲーム)
カードが不足していてブリッジが1時間も可能なはずもなく、オグランダー
家の写真などから、女優ヴァレリーの家族だということもはっきりする。
死因は、誰かに殴られ倒れた拍子に頭をぶつけたもので、場所を移動した
痕跡があった。
女性一人で、死体を移動することはできないことから、犯人は別にいると判断する。カードゲームを1時間も続けるには、カードが不足していてはできないことから事件の真相にポワロが迫る。
犯罪を憎むポワロにしては、珍しい結末だが、事件性はないとの判断。
実はオグランダー家には娘が2人いて、一人は女優のヴァレリーで家族が
彼女を守ろうとしたということを、ポワロは気づいていたというストーリー。
リードバーンを殴ったのは、同行したヴァレリーの兄だったということだろう。
倒れた際の打ち所が悪かったというもので、知人の皇太子の要請に応える意味合いからも、不可抗力の事件としてポワロは結論を封印する。
オグランダー家とヴァレリーの関係を知らないヘイスティングスには、
なかなか理解が難しかった事件。
“ポワロは面白い”☆☆☆☆
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